ここからは
中国・新疆ウイグル自治区カシュガルからキルギス・オシュまで国境越えをします。
陸路国境の中でももともと悪名名高い新疆~中央アジア諸国への国境。烏魯木斉からカザフスタンへ向かう鉄道やバスが比較的楽なようですが、私たちはカシュガルへ行ってみたかったのと旧ソ連構成国に一つでも多く行くために、カシュガルからキルギスへの国境越えを計画しました。※以下平成30年(2018年)11月当時の情報です
ちなみにこの先の経緯はちゅうさまのブログの方が詳しいです。ご参照ください。
この国境越えは
①カシュガル→ウルグチャトへ乗合タクシー
②ウルグチャト(口岸・国境審査)→中国側イルケシュタム国境へ乗合タクシー
③キルギス側に徒歩入国
④イルケシュタム(キルギス側)→オシュへタクシー
という複雑なルートでした。
国境は天山山脈にあるため中国側の国境審査は120キロ手前のウルグチャトで行い、そこから国境まで乗合タクシー、更にキルギス側に入国してから数百キロ離れたオシュという街まで向かおうという、ある種無謀な計画。
ちなみに中国側の国境は10:00-13:00、16:00-20:00(北京時間)と午後の昼休みが長く、その先も確実に行けるかわからない(ブログを見ていてもどの旅人も対応がまちまち)な上、国境越え当日は金曜日、週末になると国境は封鎖されるため絶対に一度のチャレンジで越えたい国境でした。
早朝のカシュガルからウルグチャトへ
まだカシュガルは眠っている北京時間の朝7:30(新疆時間5:30)、ホテルをチェックアウトしてタクシーでカシュガル汽車站(バスターミナルへ)。
到着したのは9時。真っ暗なターミナルで切符の販売を待ちます。
切符の発売が始まったのは9:30ごろでしたが、何故かウルグチャトまでは買えず、ほかの街まで行く人たちが次々に切符を買っていきます。
しばらく黙っていましたが、もういいだろうと、声を掛けたら買えたのが9:50。
カシュガル到着時に、ウルグチャット行きの乗合タクシーは4人乗りで4人集まらないと出発しないので4枚買った方が良い、とインフォメーションのおばさんに聞かされていたので2人で4枚買いました。
カシュガル10:00-ウルグチャット国境12:30 34元×4枚
乗り込むのは普通の乗用車。買っている切符は判子入りの公式版なので公式の乗合自動車か。
カシュガルのバスターミナルを出発できたのは10時。あたりもずいぶんと明るくなってきた頃でした。
ウルグチャトまでは100キロの道のり。1時間ちょっとで着くのかな、と思っていたら、ウルグチャト市街の前で公安の検問所がありました。
検問所では指紋認証の機械を通り、パスポートを提示の上、ビザの確認、旅の目的、行先、カメラで撮影した写真の確認、と約一時間ほど公安に質問をされました。
旅人が多いのかキルギスへ行く、日本人と行ったらそこまで深く追求はされませんでしたが、厳戒態勢の新疆を抜け出すのはこんなにも大変なのか、、、とひたすらうんざりしていました。
カメラの確認は写真全部確認。前情報ではスマホも確認されると聞いていましたがカメラのみでした。危ない写真はすべて消していたので無事通過。(っていうか写真確認される国境ってだいぶやばいのでは…??)初体験です。
イルケシュタム口岸(国境審査)
ここの国境はずいぶん変わっていて天山山脈の麓にあるウルグチャットにイルケシュタム口岸があり、そこで出国審査を受けスタンプも押されます。そして車で120キロ離れたキルギスへの国境に向かい、そこでようやくキルギス側に物理的に出国します。
というわけでまずは国境審査を受けます。
国境の入り口ではまず解放軍の軍人にパスポートを見せて通過。名前と番号をノートに控えられます。ここではキルギス人の運転手もいてなんとロシア語が通じた!
寒いね~、いやいや普通だよキルギスはもっと寒い。とかのんきに会話をしていました。
入口を通過してからはよくわからないままひたすら500メートルくらい歩きました。
ずーーーと歩くと国境審査場があります。
ここではバックパックをすべてひっくり返して手荷物検査、更にカメラの画像をここでも全て確認されました。国境に到着したのは12:30。
そこから一時間近くその作業が続きます。一番予期しなかったのは友人が持っていたロシア語会話帳に載っていた世界地図の中国と台湾の色が違う!ということで30分も押し問答をした挙句没収されたこと。いやいや台湾のフォントが違うけどアメリカとハワイも違う!とか色は多分ミスだ!とか言い張っていたけどダメなようで悪いね…と言われたものの没収は変わらず。これからロシア語圏に行くんだよ⁉
ちなみにその間に国境審査官には国境までは一人100元ね、OK?と聞かれ、わりかし安いじゃーんと思いながらOKをして出国を待ちます。
会話帳を没収されたころ私はガシャンとスタンプを押されて無事通過、と思ったら、
そこで予期せぬ事態が発生。パスポート返してくれるよね?と手を出したら、
「待て、こっちへ来い」と軍人に言われ免税店へ。
暗かったお店に急に明かりがついて急遽開店し、おあつらえ向きにタバコが2箱出てきて、さぁ買えと言う。
?????????????状態。賄賂?わいろなのか??
とっさにもうカード(VISA)しかない。人民元没有!!!!と応戦。
幸いカードの機械もなくて、(あったとしても銀聯しか使えないはずなので払えないことにする予定だった)免税店店員も困惑顔。
軍人も困ったみたいで、呼び寄せた若い軍人を指して「ありがとうと言って彼に渡せ」
お、おおう。と思いながら煙草を渡すとなんか丸く収まったみたいで車に乗り込めました。(パスポートは運転手の手に渡った)
車に乗り込んだのは国境に着いた1時間半後の14時。さぁキルギスへ!
車が走りだして安心したのも束の間、
キルギス系運転手「2人で100ドルな!」
???????2人で200元じゃないの??ちなみにブログで調べていた前情報では大体100元くらいが相場。二人だけだとしても高すぎる。こんなところでボラれるのはあほすぎる。ていうか絶対タバコ2箱代だ…
我々「ドルは持ってないんだ」
運「う~ん、じゃあ600元(1万円程度)」
我々「いやいや、最初100元言ってたし、そんなに元無いよ」
というと国境に電話をしだして車は止まる。
その後、結局2人で500元で交渉妥結。負けたけどパスポートは運転手の手にあるし、なによりこの先120キロの道のりを急ぎたい。新疆の周縁国境はひどすぎる…
ウルグチャットからイルケシュタムへは絶景の道。
ただ車の窓が汚れていたのと、写真は撮るな!と言われたのであまり写真は撮れませんでした。最後の街ではモスクが閉鎖され、軍人が警備していて怖かった。
15:30ごろに国境手前に到着。ここで500元の支払いを要求されますが今200元、最後に300元支払うことに。お金を渡すのは終点なのは安全のため。
国境は16時まで封鎖されているので手前の食堂で休憩。パンとスープを飲みました。
そこから少し走って、車を降ります。
歩いて国境越え
歩いて国境越え。影も落ちた山の中を歩くと、キルギスに入りました。
国境の軍人に「こんにちは(ロシア語)!」というと「ようこそ!」と返ってきた。
キルギスはいい国かよ…
そうですここからはロシア語が通じます。中国語は殆ど喋れないのでここからは自由の身。自分の言いたいことが言えます…嬉しい。(とはいえ片言ですが)
国境審査場までは多分1キロ以上の道のり。
タクシーを呼んでも全く来ないのでひたすら歩きます。途中でタクシーがやってきて国境審査へ。日本人、というとすんなり通過できました。
ちなみにその後手違いで出国側に回され手荷物検査を受けたのですが中国人だと思われて棒で荷物をつつかれ、ぞんざいに扱われた挙句、日本人だとわかった瞬間もうお終いだ。と手のひらを返されて面白かった(笑えない)
旧ソ連では中国人敵視政策もあり、中国人への扱いは悪く、逆に日本人へは謎に好意的です。
国境審査場の向かいにあるモスク。キルギスのモスクは生きていた。
厳戒社会の新疆から来たのでようやく自由の感覚を得ました。
オシュまでは白タクで
その後、最初に軍人に呼んでもらったタクシー(白タク)と価格交渉。
260キロ先のオシュまで彼らの提示は二人で120ドル。
完全に足元を見ている…30分近く交渉するも、「そこのホテル(ボロい)に泊まってもいいんだよ?」といわれ陥落。120ドルの白タクでオシュまで向かいます。
絶対に泊まりたくないホテル。
イルケシュタム17:00-オシュ21:30 白タク 120ドル
さぁ出発!と思ったら途中でガソリン入れたり、オシュへ向かう謎の友人が来たりして、一通りの儀式が終わった後に出発。
イルケシュタムの村の様子は美しいものでした。
ここからは天山山脈の美しい雪道を走ります。11月の雪道、怖いながらに素晴らしいものでした。
オシュに近づくにつれて暗くなり雪道を抜けると、今度は1メートル先も見えない霧の道。手探りで本当に死ぬんじゃないかと覚悟していましたが無事にオシュへ。
オシュ市内では急に道でヒッチハイクしていた警官が乗ってきて、白バイは捕まるとまずいのか、警官が下りてからすぐに別の車に乗り換え。21:30頃に市街地に着きました。
恐ろしい道のりだったので120ドルはむしろ安いのでは…と思うほどでした。まぁ現地の水準から行くとかなり高いでしょうが。
泊まるホテルは決めていなくて地球の歩き方に載っていたホテル北京とクリスタルと迷って、新疆では散々な目にあったからクリスタル!とクリスタルへ行くも埃っぽいホテルで寒くてここでも散々な目に。
夕ご飯に近くのチャイハナでヒンカリみたいな食べ物を食べながら、長い長い中国からキルギスへの地獄の国境旅を反芻していました。
何度か国境越えをしていますが歴代最悪の国境でした。
・新疆側の度重なる公安からの検査
・出国時の本没収、賄賂
・中国側のぼったくりタクシー(値段が変わる)
・キルギス側の高値のタクシー
もう二度と越えたくないです。
(ちなみにウズベクであった別の旅人は夜に国境を越えて国境では柵を登って越えさせられたそう。)
次ははいよいよウズベキスタンに向かいます。